大西康明「空間の縁」
2017.01.14 [sat] - 02.28 [tue] 11:00〜19:00 11:00-19:00(土は、11:00-17:00)※日・月・祝休廊
この度アートコートギャラリーでは、国際的に注目を集める現代彫刻家・大西康明による展覧会「空間の縁(ふち)」を開催いたします。
大西康明は、空洞や余白と呼ばれる「ネガ」の空間を、体積・重力・距離といったテーマで視覚化する彫刻作品を制作してきました。接着剤やポリシートなどの形態を定めにくい素材を用いて、人為と自然との境界にある形を繊細な感覚でトレースし、輪郭を与えてゆきます。本展では、新作《空間の縁》を中心に、飛躍的な展開を見せる彫刻作品《体積の内側》、前後/奥行きの反転をキーワードに制作する平面作品《plate of traces》を発表します。
制作は現在の境界線を明らかにし、輪郭を更新するような作業です。
作品と空間を共にする身体感覚に働きかけ、人の手を超える体系を暗示させながら、この世界やその裏側を知る方法を探っています。
形に留めにくい素材を使って、空間を大きく変えるような作品を制作しています。それは特定の事象を示すものではなく、解釈を見る者に大きく委ねる彫刻です。
接着剤による無数の線や空気を囲うポリシートの膜は、空間に注がれた自身の行為やそれを経た作用が溜め込まれていく容器のように機能します。
「それいがい」を扱うことで、
「そのもの」がくっきりと見えてくること。
その先や向こう側に思いを巡らせ、空洞や空白を想像力で補完することで、少ない手がかりを基に、人はそれぞれの実体を得ることが可能です。
大西康明
【作品解説】
光の階調を満たしながら膨張と収縮を繰り返す複数のバルーン《空間の縁》。特定の事象を象らない大西の作品は、そのスケールや表裏、前後といった概念を心地よく裏返し、観る者の無量無辺の想像力や思考を溜め込む器として機能します。場所の特性を注意深く観察し、シンプルな要素で相互関係を仕掛けながら展示空間を彫刻してゆく大西。作品を外側から眺めつつも身体は内側に取り込まれる経験の中で、鑑賞者は時に無機質な素材から有機的な存在を感じ、時に巨大/微小なものを想起し、幾重にも転換する次元の中で分裂ーー結合の交差を繰り返します。作品から獲得するイメージは速度を増して次々と転回し、あらゆる方向へと想像力が開かれてゆきます。
柔らかな素材はまた、行為の軌跡=時間を溜め込むと同時に、重力・気流・現象などの不可視の存在と人為とがせめぎ合う形を留めます。パネルに接着剤を塗り込めたのちに圧着・再加熱・引掻きなどを繰り返す《plate of traces》、立方体の中の「空洞」を彫刻し、多方の鑑賞点を持つ《体積の内側》。無数の細い垂直線に吊られたポリシートの皮膜が浮かぶ代表作《体積の裏側》にも通底するその揺らぎを孕んだ造形は、「虚空」や「変化」を基軸とする、軽やかな新しい彫刻のかたちを提示します。
関連動画
Yasuaki Onishi: Edges / 大西康明「空間の縁」
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- 01.14 [sat] 15:00〜16:00 ※終了しました。
対談 [加須屋明子(京都市立芸術大学教授)×大西康明]
*要予約、ご予約はアートコートギャラリーまで - 01.14 [sat] 16:00〜17:00 ※終了しました。
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