山下拓也「雨F蘭」at ART OSAKA 2014
2014.07.11[fri] - 07.13[sat] ※開催日により開場時間・入場料が異なります。詳細は下記をご確認下さい。
◆ 今年で12回目を迎える現代美術アートフェア「ART OSAKA 2014」において、山下拓也(b. 1985)による個展を開催します。
山下拓也は、私たちの日常を取り巻く雑多な対象物を、本来の文脈・体系から切り離し、まったく別のシステムへと移植することで、ポップとまがまがしさ、ゲーム感覚の軽やかさとアイロニカルな視点が綯い交ぜになった世界を創出します。
コンクリートブロックの空洞に設えられた仏壇、展示室の出入口にぴったりと嵌め込まれた「髑髏」の文字、薄っぺらな紙の体にマント代わりの国旗を巻きつけ、重たそうな金庫の頭部を載せて佇む童子………。それらの存在は、一見ユーモラスな外観を呈しながらも、「場」の構造・「もの」の成り立ちを巧みに異化することで、あらゆるものを秩序づけようとする社会のシステムによって普段は周到に隠されている存在の異様さ、物事の無防備な裏側を暴き出します。
近年、山下は、’99年に解散したプロサッカークラブ「横浜フリューゲルス」の公式マスコットだった「とび丸」など、すでに活躍の場を失ったマスコットキャラクターたちを作品のモチーフとして繰り返し登場させています。そこでは、「使用期限を過ぎた」キャラクターが、元々与えられていた居場所に戻ることも、本来設定されていた役割を取り戻すこともできず、自らの外皮だけを増殖させていきます。空虚な中身を覆い隠すかように、けばけばしく彩られた抜殻の群れは、相 手が虚構であることを了解しつつ感情移入するという、矛盾を孕んだ行為を成立させ得る暗黙のルールに身を委ねるよう私たちを誘惑すると同時に、得体の知れない違和感をも味わわせます。
ホテルが会場となるART OSAKAでは、「宿」という場所と象徴的にリンクするある物体から生まれ出た”living dead” としてのマスコットキャラクターが、客室内を所狭しと浮遊します。私たちは、ホテルの客室という「快適な生活空間」を象った現実と理念の狭間にある空間で繰り広げられる、夢とも現ともつかない妖しく色鮮やかな光景に酔いしれる一方で、自分たちの日常を下支えしているのは、実はこうした一種の共同幻想に他ならないのではないかと、疑い始めることになるかもしれません。
◆ Exhibition PLUS : 山下拓也 「 絵」
山下は、立体作品やインスタレーションと並行して、継続的にドローイングを制作してきました。
極彩色でびっしりと描き込まれた漫画やアニメのキャラクターと装飾的な文様が、チカチカと明滅しながら上下左右緩やかな対称を成し、全体としてひとつの「顔」をかたちづくる曼荼羅のような画面が特徴的なこれまでのドローイングに加え、昨年から取り組んでいる、CDジャケットや映画のフライヤー、大判のポスターの一部を塗りつぶしながら寄生するように描くドローイングも紹介。
欲望・崇拝・寵愛の対象となる無数の偶像や、イデオロジックかつ陳腐な希望のイメージを強迫的に反復することで、背後に何も隠し得ない「完全な表面」へと還元していくドローイングの数々。軽妙でスピード感のある立体、インスタレーションの作品世界と表裏を成す表現を、ぜひご堪能ください。
関連イベント
- 07.11 [fri] 14:00〜20:00 ※招待者のみ
プレビュー - 07.12 [sat] 11:00〜18:00 (入場料:¥1,500 / 1 day pass)
一般公開 - 07.12 [sat] 19:00〜21:00 (入場料:¥2,000 / ご招待者:無料)*ウェルカムドリンク付
ナイトビューイング - 07.13 [sun] 11:00〜19:00 (入場料:¥1,500 / 1 day pass)
一般公開
主催
会場
出展作家
山下拓也