野村仁「コスミック・センシビリティー」
2024. 9.21 [sat]− 10.26 [sat]11:00−18:00[土曜日 −17:00] 日・月 休廊
現代美術家・野村仁(1945-2023)の個展を開催します。本展では、宇宙から飛来した隕石をYS-11の尾翼に載せ、地上に迎え入れる大型作品《軟着陸する隕石’97》(1991-1997)をメインに、野村の彫刻制作を貫く「コスミック・センシビリティー」の意識を代表作の数々とともに紹介します。
重力や時間とともに変化する物質の様相をカメラで捉え、野村は1960年末より写真を主要な彫刻作品とする制作をスタートさせました。70年代半ばには天体の動きにレンズを向け、以来、身の回りの事象や生の営みが崇高でダイナミックな自然の秩序に基づく関係性に関心を深めていきます。扱う素材やメディアも多様化し、宇宙の起源、生命の誕生、地上生物の進化過程といったスケールで「時」を記述し、物の成り立ちや現象の背後にある「モト」を照射する独自の空間表現を探求していきました。
80年代に入り、隕石を初めて入手した野村は、「そのかたちが面壁の達磨と衣を広げ風に向かって歩く釈迦に見えた」ことから、果てしない時間と空間とともに現れる宇宙の造形力の存在に気づきます。その思考と意識のもとに生まれる新たな創造の拡がりを“コスミック・センシビリティー”と呼び、90年代より隕鉄を用いた作品を発表。小隕石を肖像や事物に見立て、ユニーク彫刻として大理石に載せ提示する作品や、DNA模型と組み合わせた作品などを手がけました。
アートコートギャラリーは約20年に渡り、野村仁の先進的な活動発表の場となり、制作のエネルギーを間近で見る機会に恵まれました。「物質と生命を貫く大切な何か」を捉え、夜に浮かぶ星や月の光のように、宇宙を身近に知覚できる数多くの作品を生み出し続けた野村仁を再び見つめ、旅立ちから1年となる時を本展で皆様と過ごすことができれば幸いです。
関連イベント
- 10.17 [thu] 18:00-19:30
お月見トーク「野村仁とコスミック・センシビリティー」
ゲスト:名和晃平 (彫刻家、Sandwich Inc.主宰)
聞き⼿:牧⼝千夏(京都国⽴近代美術館 主任研究員)
定員20名(定員に達しました)
出展作家
【主な出品作品】
・《 コスミック・センシビリティー:未来人》(1994-2019)
・《 正午のアナレンマ '91》 (1991)
・《 軟着陸する隕石 '97》 (1991-1997)
・ 《自転する地球 Aug.30,1979 17:07-17:37》 (1979/2012)
・ 《Calamites・Odontopteris & HCG 40(2.9億光年)》(2007)
・ 《'moon' score》 (1979,1980/2017) および 関連資料 など、 計11点を予定。