八田豊展
2024. 3.23 [sat] - 4.27 [sat] 11:00-18:00 (土 -17:00) 日・月 休廊
福井県を拠点とする八田豊(1930-)は、1950年代初めに画家としての活動を開始し、’80年代に視力を失ってからは聴覚、触覚を駆使し、創作活動を続けてきました。同時に、北美文化協会の中心メンバーとして、また、その解散後も地方における芸術文化運動の重要性を訴え続けた指導者としても知られています。
戦後、海外からの情報流入により都市部を中心に様々な前衛美術運動が興るなか、八田は「日本の風土の中にある素材から新たな芸術を生み出す、そしてそれを絵の上で試みたい」という意志のもと、当時盛んだったアンフォルメルなどの動向とは一線を画した表現を模索します。’60年代中頃より、キャンバスや絵具、絵筆を排し、日本の紋章などを参照した円を基調とする幾何学的な図像を、パルプボードや金属板にキリや鏨(たがね)で刻み込むという独自の手法で、イメージの無機質さと刻線の蠢くような物質性が同居する絵画空間を生み出し、第9回シェル美術賞(1965年, 3等賞)や「現代美術の動向展」(1966年, 国立近代美術館京都分館)など数々の展覧会出品や受賞によって高い評価を得ました。視力以外の感覚を使って制作するようになってからは、絵具の滴る音を頼りに偶然の現象と聴覚によるコントロールから生まれる色鮮やかなタブロー作品や、紙の原料となる楮(こうぞ)を素材に、その触感と物質性を主題とする作品制作に取り組み、今日に至ります。
本展では、八田の長きにわたる画業の一つの到達点とされる’60-’80年代のカーヴィング作品を中心に、90年代のタブロー作品、’90年代後半〜2000年代の楮による作品を交え、素材ーイメージー行為が視覚の恣意性を越えて肉薄することで結晶化した唯一無二の絵画世界を紹介します。
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- 3.23 [sat] 15:00 - 17:00
レセプション/作家在廊予定