ARTCOURT Gallery

Exhibitions

佐々木類「雪の中の青」

2024. 2.3 [sat]− 3.2 [sat]11:00−18:00[土曜日 −17:00] 日・月・祝 休廊

アートコートギャラリーでは、ガラスを用いたコンセプチュアルな造形表現で国際的に注目を集める佐々木類の初個展を開催します。

佐々木は、武蔵野美術大学とロードアイランドスクールオブデザイン修士課程で、ガラス造形をデザインとアートの両領域で学び、2010年の修了後より国際公募展に参加し数々の賞を受賞。北欧や欧米を中心に滞在制作招聘を受け、近年は国内外の美術館や芸術祭にて展示を行い、インスタレーションやライブアートなども取り入れた幅広い表現で精力的に作品を発表しています。

2019年にはコーニング・ガラス美術館のキュレトリアルコミッティが主宰する世界的に権威ある賞の一つ「Rakow Commission」に選出され、2021年には「富山ガラス大賞展2021」にてグランプリを受賞するなど、佐々木の作品は国内外のガラス美術館に収蔵され高い評価を得ています。個展としては、昨年3月から6月にかけてポートランド日本庭園(アメリカ・オレゴン州)にて滞在制作とともに行ったサイトスペシフィックな展覧会を経て、本展を迎えます。

佐々木は存在の記録や保存に適した素材としてガラスを捉え、身近な自然や生活環境の変化を通じて知覚した“微かな親しみ”や“懐かしさ”をテーマに作品制作を行なっています。活動拠点である金沢の自然の中や滞在先で見つけた、その時々の自分と場所を繋ぐものとして、雪、植物、部屋の隅などを採集し、透明なガラスに封入することで、目には見えない記憶の可視化を試みています。
本展では、佐々木の制作において要となる「採集する行為」に焦点を当て、代表的な3つのシリーズを展示室ごとに構成して、熱した蓄光ガラスを雪の中で吹いて制作した《雪の中の青》、故郷の実家の隅を型取りした《Corners at My Parents' House》、ポートランド日本庭園の庭師による手入れで捨てられた植物を標本のように保存した《Reminiscences of the garden》を紹介します。これらの作品は一つ一つが日記のように生み出され、継続して制作に取り組んでいるシリーズであり、近年の佐々木の移動や採集履歴マップとしても見ることができます。

北陸地方に住み始めて以降、水分を多く含む積雪と接してきた佐々木は、雪が青く見える瞬間の“懐かしさ”から、本展に向けてさまざまな発想を広げてきました。かつては《水の記憶》と題した、太陽の光を吸収し暗闇の中で青く光る蓄光の粒をガラスに混ぜて、積雪の穴の中で吹き制作した作品は《雪の中の青》として再構築に至ります。日によって異なる雪の状態がそれぞれのガラス造形に写し取られていることや、蓄光の粒が光を溜めてゆく、目に見えない現象や制作過程の時間が、新たに展示に組み込まれています。

この見えない光と闇とのあわいに現れては消えゆく青の色は、佐々木が提示する一期一会の“愛でる楽しみ”と言えるでしょう。「採集する行為」によって蓄えられていく、佐々木のガラスを介した表現の、独創性に優れた進行形の記録とかたちを、本展でぜひお楽しみください。

関連イベント

  • 2.3 [sat] 15:00-17:00
    作家によるギャラリートーク&レセプション

出展作家

佐々木類