今井祝雄 Retrospective―方形の時間
2016.03.26[sat] - 04.23[sat]
1970年代から作品に写真と映像を新たなメディアとして登場させた今井祝雄は、次第に『時間』表現に制作のテーマを移していきました。現像しないと確認できないフィルム写真、鏡像効果を見せるガラスのブラウン管、「時間の巻尺」としてのオープンリールのビデオテープなど、当時のメディアの物質的特性を活かし、そのシステムの中に表現者が身体的に介入し、イメー ジを重層的に展開するパフォーマンスやインスタレーション、映像作品を続々と発表し、時間の可視化を試みました。 2015年秋より東京国立近代美術館にて開催された「Re: play 1972/2015」や本年2月よりロンドンのテート・モダンで開催される「Performing for the Camera」では、当時の写真・映像作品が出展され、今井が取り組んできた表現方法と制作テーマの革新性が改めて評価されています。 1964年の初個展「17才の証言」で鮮烈なデビューを果たした今井は、前衛芸術家グループ「具体美術協会」に最年少メンバーとして迎えられ、同協会の「具体展」等への出展の他、当時盛んに開催されたアンデパンダンや公募展などにも積極的に参加しました。今井の制作最初期にあたる1960年代には、キャンバスに凹凸を持たせた「白」の作品で、絵画―レリーフ―立体の境界を越える表現を拓き、1970年代には写真・映像作品へと更に関心を拡大しました。本展は2012年の「Retrospective―17才~22才」、2014年の「Retrospective―影像と映像」に続く今井祝雄の回顧展 第3弾となります。
展覧会の見どころ:
表題作《方形の時間》(1984/2016)は、パフォーマンスの再演やそれに連なるインスタレーションの再展示のために、オープンリールのビデオテープと録画再生機が不可欠です。今回は、製造停止となって久しいそれらの機材を入手できたことで再演・ 再展示が可能となりました。本展初日に実施される公開パフォーマンスは、4メートル四方に配置された等身大の観葉樹を今井がビデオテープで巻きつけていくものです。
――作家は撮影直後のビデオテープを手に持ち、観葉樹に巻きつけていく。そのビデオには一瞬の時間差でその直前の作家 の行為が録画され、ビデオテープはリールに巻き取られることなく吐き出され、それを手に持った作家は観葉樹に巻きつける。 それら一連の行為と記録が入れ子状に進行し、やがて四方に配された観葉樹に巻き付いたテープによる「方形」が出現する。
このパフォーマンスはその後、インスタレーション作品として展示されます。 本作は今井が取り組んだ『時間』表現の代表作のひとつです。
今井の手により時を経て再現される「時間」の数々を、どうぞご高覧ください。
関連イベント
- 03.26 [sat] 15:00〜15:20 ※要予約、参加費無料 ※終了しました
公開パフォーマンス「方形の時間」
- 03.26 [sat] 15:30〜17:00※終了しました
レセプション - 04.16 [sat] 15:00〜17:00 ※要予約、参加費無料
ビデオ上映と対談
◆上映 「時間の衣装」「On Air」「矩形の時間」等のダイジェスト(1978~1983年作品、約15分間)
◆対談 三輪健仁(東京国立近代美術館主任研究員)×今井祝雄